(5/6)トレニックワールド100km in彩の国レポート【South編 奇跡のぶどう 】

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サンピアで停滞している間、ほんの少しばかりリタイアすることも考えた。仮にリタイアする場合、 このブログで自分も読者も納得するような理由(いいわけ)を説明しなければならない。

せめて古傷が悪化してくれれば、「ハイ喜んで!」とリタイアできたものだが、North終盤の不調により肉体的には余力が残っている状態。

「リタイアする理由がまったく見つからないぜ」 

考えるより動いた方が楽という消極的な理由でSouthコースに向かうことにした。

彩の国100K South編

出典:公式コース図より

レース後の大会記録を見るとサンピアからのリスタートは21:41 だった。1時間半以上休んだにもかかわらず総合順位は271→232になっていた。サンピアでリタイアした選手が60人近くいたので、その影響もあるだろう。

サンピアから桂木観音

同じタイミングでサンピアを出た数人のランナーと共に桂木観音に向けてロードをランと歩きを混じえて進む。north は肉体的には抑えめだったので脚が重いという事は無かった。

ロードが終わり五体尊の自販機で翼が生える系のドリンクを探したが無かったので、代わりにオロナミンCを飲みトレイルに入っていく。

同じペースの選手で自然と隊列が出来る、ほとんど歩きの様なペースであればキツイということはない。

西山高取に出ると越生の夜景が見えた。

時刻は22時30分。

CP6 桂木観音 奇跡のブドウ

桂木観音には23時17分到着。総合順位232→267

食欲はあまりないが何でもいいから食べないとダメだ。

コロッケサンドをモシャモシャしながらスープを頂いた。うまい。

玉子豆腐があったので頂く。するっと入ってきてうまい。

その横でボランティアスタッフさんが食べやすい様にブドウを房からもぎり取る作業をしていた。

ヘッドライトでキラキラ光る粒を口に運んだ。

・・・

噛んだ瞬間皮がプチっと弾け、甘いブドウの果汁が口の中を支配する。

「なっ、何なんだこれは!、美味過ぎる。」

いや美味いだけじゃない、なんかこう体の中で明らかにエネルギーがローディングされていく感覚がある。

みっともないとも思いながらも20粒ぐらい貪り食ってしまった。

何だか力が湧いたような気がする。もっと先に進めそうだ。

桂木観音から吾那神社

サンピアから出た時とは明らかに調子が違う。

試しにスピードを上げてみても辛くない。しばらく走っていると、前方にとてもいい感じのペースで走っているルナサンの選手がいた。

付いていくと非常に自分に心地良いペースで走っている。

追いつくと道を譲る仕草をしてくれたのだが

「いいペースで走られているので、付いて行かせてください。」 とお願いし一緒に走らせて頂く事にした。

コースどりを考える必要も無い、彼がテクニカルな登りや下りでコースどりに迷うそぶりを見せれば、自分は後ろから彼のヘッドライトで届かない範囲の最適と思われる進行方向をハンドライトで照らす。

安全に通過したのを見届けて彼のルートをトレースする事ができた。

ルナサンの彼のおかげでかなり楽にスピードを上げれた。そして結構抜いた気がする。

一本杉辺りからはルナサンの選手とは別れ、単独行になりだした。

覚醒

先程まで7割程度で走っていたが、もう少しペースを上げても大丈夫そう。抑えていたペースをさらに開放する。

徐々にペースを上げる。キツくはない。まだスピードは上げられる。もう少しスピードを上げる。気持ち良い。

ペースを上げると前走者を次々と抜いていく、これは俗に言う「ゾーンに入る」という状態ではないのか?

僕は「ビースト、ビースト、野獣、ビーストモードだ!」と頭の中で連呼していた。自分の中で想像出来なかった力が湧いたせいだろう。この様な力が出るのは不思議な体験だった

ビーストモードは一定時間で切れた。

ビーストモードが切れた後には有難い事に北向き地蔵手前あたりで私設エイドを作っているかた方がおられた。

こんな夜中に美味しいスープを頂く事が出来ました。ありがとうございました。

CP7 吾那神社 黄金の死体

吾那神社エイド到着は深夜2時15分過ぎ(17:15経過) 総合順位は267→234

神社に着くと異様な光景を目にする。

疲れ果てた数十人の選手達がブルーシートの上で金色のエマージェンシーシートに包って横たわり投光器に照らされていたのだ。

「まるで黄金の死体」

休んでいる方からすれば不謹慎だと思われるだろうが、 神社の境内に似つかわしく無い金色のシート包まれた選手たちはとても美しく、これから何かの儀式が始まるのではないかと錯覚し、神々しささえ感じた。

このエイドでは暖かいスープを頂き体が温まったが、だらだら休んでいると引き込まれそうだったので、先に行かねば。

光量の落ちたヘッドライトのバッテリーを交換し神社の階段を降りていった。

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