BORN TO RUN 走る人も走らない人も読んで欲しい本

この記事は約5分で読めます。

ちょっと前に2冊の本
「BORN TO RUN 走るために生まれた~」 と
「EAT&RUN~100マイルを走る僕の旅。」を読みました。

「BORN TO RUN」に関してはランニングとトレイルランを始めるようになって、ランニング関連の情報を集めているときに、その話題を見る事があって気になっていました。最初、図書館で借りて読んだのですが何度も見返したかったので後日買いました。

「EAT&RUN」はBORN TO RUNの登場人物のひとり
スコット・ジュレクの自叙伝
どちらも文字通り「走る」という事に焦点が当てられています。

マラソンや駅伝の選手が苦痛に顔を歪めるシーンを見る度、
つまらなく、疲れるだけだと思っていた「走る」という行為の中に
実は大きな発見があり、喜びを見出すことが出来る事を知りました。
そして、読み終えた後に
目の前が広がり、突き抜けて行く感覚
が味わえる作品です。

BORN TO RUN のあらすじ

「BORN TO RUN」は32章あり大枠で3つの話で構成されている。

  • 著者視点で進むメインのストーリ―
  • 人類がいかに走りが優れているかの考察
  • ランニングにとりつかれた様々な人達の話

メインストーリーとは別の話が挿入され、交互に入れ替わりながら進んでいく。

章が変わるたびに話が行き来し、登場人物も多く
さらに翻訳本らしい意味がわからない比喩があったりで序盤は読みにくい。だが我慢して読み進めていくと終盤にウルトラレースのゴールラインに向かって3つの話が重なりあっていく。
そして、読んでいるだけなのに、最後は心臓をバクバクさせている事に気づくのだ。

「どうして私の足は走ると痛むのか?」

「どうして私の足は走ると痛むのか?」と著者(クリストファー・マクドゥーガル)が疑問を抱く事からはじまる。
その疑問を解明していくうちに現代の文明社会とは距離を置き、
峻険な山々が人を寄せ付けないメキシコ奥地の秘境’コッパーキャニオン’にひっそりと暮らす「タラウマラ族」にいきつく。
彼らはハイテクシューズなど履かないし、急峻な山岳地帯を裸足で走り続けても怪我などしない。

「最高のシューズは最悪である。」

柔らかいソールとサポート性能を持った高価なシューズと
ワゴンセールで売っているシューズのソールを比べてみると実は足に対しての衝撃吸収力の差は無い。
タラウマラ族が走る時はワラーチ(古タイヤに革紐を着けただけのサンダル)を履いて走っている。
サポート力が無いワラーチを履いて、子供の頃から走り回る事で
自然と足にダメージを与えない走り方を習得している。
これは高機能シューズが悪で、ベアフット(裸足)が善だと言っている訳ではない。
もともと人間に備わっていた能力を呼び覚まそう。という話だ。

仮説を立て、研究者の根拠とともに説明していく。

人間は走る為に生まれた。

地球上の哺乳類の中で、最も走る事に長けている動物は何か?
獲物を追って疾走するチーターや、大平原を駆ける馬などの動物を思いつく。
だが最も走ることに優れた動物はというと・・・・人間だという。
もちろん、瞬間的な最高速度であればチーターには敵わない。
では長距離走だとどうだろうか?

本文より
弓矢が発明されたのは2万年前です。
槍の穂先は20万年前。
しかしホモ・エレクトゥスが登場したのはおよそ200万年前です。
とすると、ヒトは出現してからほとんどの時間
200万年近くも素手で肉を捕獲していたことになる。・・・

読み進めていくと
人は二足歩行する事で気道を確保、呼吸をしやすくし、
体毛を無くし汗腺をつくり汗をかく事で体温調節機能を得た。
そうやって人は長く走り続けられる体へと進化させてきた。
人間以外の動物は肺に冷却機能を集約しているので
疾走しながら体を冷却することが出来ない
立ち止まらなければ体温を下げることが出来ないのです。
人間の長く走り続ける能力によって草食動物を追い
草食動物の体がオーバーヒートした所を手づかみで持久狩猟した。

ある科学者がブッシュマンに密着し実際に耐久狩猟をやっているシーンを見届けている。
武器を使う狩猟が人類の始まり位に思っていましたが
実は人間にはそんな能力がある。
また、生存競争の中で、力も知能も高いネアンデルタール人が滅び
力も知能も劣る我々ホモサピエンスが生き延びることが出来たのは何故か?
それもやはり長く走り続けられる体を持っていたからだ。と結論付ける。
また、「人が歳をとると走らなくなるのは何故か?」の疑問に
「走らなくなるから歳を取るのだ。」
という逆説的な切り返しも面白い。

カバーヨ・ブランコ(白い馬)とウルトラランナー達

カバーヨ・ブランコという謎の白人が、コッパーキャニオンで
アメリカ人ランナー達とタラウマラ族とのウルトラレースを企画する。


写真(ルイス・エスコバー撮影)はEAT&RUNより
タラウマラ族のアルヌルフォとアメリカ人ランナーのスコットジュレク
最後のウルトラレースでは個性的なランナー達の素顔を追う。
ウルトラランナー達とタラウマラ族との間に会話がある訳では無いが互いにランナーとしてのリスペクトを感じる。
綺羅星のごとくのランナー達に混ざって,著者自身もレースに参加して必死に追っていく。

まるで自分も彼らと伴走しているかのようにレースの行方を追いかける。
そして、全てを読み終えると、走りたくて仕方が無い体が出来上がっている。
42.195キロでさえ、とてつもなく長い距離だと思っていたが
今の僕にとっては70キロ、100キロはおろか
100マイル(161キロ)だって走れそうな気がします。
もちろん明日、明後日に急にやれと言われても出来ませんが
この本を読むと「走る能力」は性別も年齢も関係無く、誰でも平等に持っている。
という事に気づき勇気付けられるでしょう。
人間として生まれたあなたはどんな動物よりも上手く走る事が出来るんですよ。
と気づかされる本です。
次はスコットジュレク著の
EAT&RUNの事を書きたいと思います。

EAT&RUNを 走る為に噛み砕く


クリストファー・マクドゥーガルの著書

人間が本来持つ野性の能力をBORN TO RUNより深く解明しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました