スコット・ジュレクとキリアン・ジョルネの走り方は明らかに何かが違う。いったい何が違うのだろうか?
人はそれぞれ、骨格や筋肉の付き方が違うのだからランニングフォームは違って当たり前。
そんな事を考えていると、過去にテレビで見た「4スタンス理論」の事を思い出した。
違いを4スタンス理論で解明出来るのではないかと思い学んでみることにした。
4スタンス理論とは?
4スタンス理論とは廣戸聡一氏が提唱する「REASH(レッシュ)理論」の中で「5ポイント理論」と両輪を成す理論で、人間が生まれつき血液型の様に持っている身体特性を4つに分類、定義して各タイプに合った体の動かし方に役立てようという理論です。
座る、立つ、 走る、跳ぶ、投げる。4つのタイプによって体の部位を動かす順番も方法も違うとされています。
私は「4スタンス理論」は 過去にテレビで放送されていた「ナンだ!?」で知りました。
「ザ・たっち」の弟、かずやは4スタンス理論に適ったフォームにする事で出力が安定し、無駄の少ない効率良い体の動かし方になった。
特性が違う4つのタイプ
手や足の重心がつま先側にあるか、カカト側にあるかでAorBタイプに分け
人差し指側(インサイド)のラインでバランスをとるか、薬指側(アウトサイド)のラインでバランスをとるかで1タイプか2タイプに分けられます。
このAorB,1or2の組み合わせによってA1、A2、B1、B2の4つのタイプに分類されます。
クロスタイプとパラレル(シンクロ)タイプ
A1とB2、はクロスタイプ 、A2とB1 はパラレルタイプ に分けられます。クロスタイプは肩と股関節の対角で伸縮させる事で力を発揮。パラレルタイプは肩と股関節の同じサイドを伸縮させる事で力を発揮します。
4タイプの分類
A1:足はつま先側で内側重心、手は人差し指。クロスタイプ
B1:足はカカト側で内側重心、手は人差し指。パラレルタイプ
A2:足はつま先側で外側重心、手は薬指。パラレルタイプ
B2:足はカカト側で外側重心、 手は薬指。クロスタイプ
「5ポイント理論」と「軸」
・・椅子に座る時に「膝を先」に曲げますか?それとも「腰を先」に曲げますか?
「4スタンス理論」の説明と同時に4スタンス理論のベースともなる「5ポイント理論」を説明しておかなければならないでしょう。「5ポイント理論」とは体の動作における「軸」を形成する基点が5つあるという考え方です。
「軸」という言葉は 「軸がぶれている」、「軸が揃っている」 といった感じで耳にするかと思います。揃っていた方が安定した力と動きが発揮されるのは言うまでもありません。
5ポイントの部位
- P1:首の付け根 P1’:肩
- P2:みぞおち P2’:肘
- P3:股関節 P3’:手首
- P4:膝
- P5:足裏
P1~P5の5ポイントを重心の一直線上に揃えれば体は最も安定しますが、これでは動く事ができません。5ポイントのうち3/5ポイントを揃えて軸をつくり、残りの2ポイントを可動させる事で安定した動作を生み出す事ができます。
※首の付け根、みぞおち、股関節ではそれぞれ、肩、肘、手首で代用する事もできます。
Aタイプでは「みぞおち(肘)」「膝」「足裏」で軸を作り「首の付け根(肩)」と「股関節(手首)」を可動させて動きを作り、
Bタイプでは「首の付け根(肩)」「股関節(手首)」「足裏」で軸を作り「みぞおち(肘)」と「膝」を可動させます。
4スタンス理論と5ポイント理論を踏まえるとガッツポーズをした時に以下のような動作特性が表れます。
無理なく、そして最も動きやすいガッツポーズの動き。あなたはどれに近いでしょうか?
簡易的な判定方法
- 物をつかむ時、指先で引っ掛ける様に持つ場合Aタイプ。手の平全体でつかむとBタイプ。
- しゃがむ時、腰を曲げてから膝を曲げるとAタイプ。 逆はBタイプ
- コップを持つ時、人差し指を中心に持つと1タイプ、薬指中心は2タイプ。コップを口に運ぶ時、肘を固定して手首可動はAタイプ,手首を固定して肘を動かすのはBタイプ。
- 位置について!よーい!の時、足を前に出して前がかりになるのは1タイプ。足を後ろに引いて蹴る準備をするのは2タイプ。
- ノートに文字を書く時ノートを体と正対して文字を書くのはパラレルタイプ。ノートを体に対して斜めに置いて書くのはクロスタイプ。
- 地球の重力に魂を引かれるのはオールドタイプ。人と分かり合えるのはニュータイプ。(このくだり要らんな。)
詳しい判定方法は「4スタンス倶楽部」
有名ランナーの走り方と4スタンスの判定
判定方法は、飲み物を飲む時の肘と手首の関係、マイクを握る時指先で握るか、手のひらで握るか等、その後、複数のランニング フォームの動画を検証し4スタンス理論の判定方法に従って独自に推定しました。
※動きが後天的に備わった場合もあるので必ずしも合致しているわけではありません。
クロスタイプとパラレルタイプの動き
スコットジュレクとキリアンジョルネ。2人のランナーの走り方の大きな違いは体幹(両肩と両股関節を結んだ胴体をボックスとして見る)がどの様に動いているかだ。 これはクロスタイプなのかパラレルタイプなのかで説明できます。
スコット・ジュレクの走り方の特徴は腕はコンパクトに畳み、体幹全体が前後左右に大きく揺れている事だ。首も揺れている。まるでこんにゃくの様だ(動画の1分11秒付近)A1判定→クロスタイプ
キリアン・ジョルネの走りの特徴は肘が横に開くこと。体幹はスコットほど揺れない。体幹の同サイドが同期して動く。首の付け根は軸になるので頭は動かない。B1判定→パラレルタイプ
スコットジュレクは体幹のボックスがみぞおちを中心に対角(右肩と左股関節)が一瞬のタイムラグを生じさせながら連動して曲線的に可動。この時、体幹のボックスにはねじれが発生する。
一方のキリアンジョルネは体感のボックス形状はほとんど崩れること無くボックス全体が背骨を中心に直線的にスピンする。(左肩と左股関節、右肩と右股関節が同期している)
以上の特徴からスコットジュレクはA1のクロスタイプ、キリアンジョルネはパラレルタイプで肘が自由に動くことからB1と判定した
ちなみに私、kenyaは4スタンス理論でいうスコットジュレクと同じA1タイプ。
同じA1タイプの言っている感覚は「なるほど!」となりますが、別のタイプがいう事は感覚的に理解出来ない事が多いです。
Aタイプ(つま先荷重)かBタイプ(カカト荷重)か
奥宮 俊祐選手(B2), 山田 琢也選手(A1), 上田瑠偉選手(A1)の三人が走る動画も体幹を中心に見てみよう。
3人ともクロスタイプであり体幹の対角が連動して動いているのは同じだが
山田選手と瑠偉選手は首が左右に揺れている、奥宮選手の首は肩に固定されている様に動かない、
この違いは「つま先荷重」か「カカト荷重」かで、5ポイント理論での軸の作り方の違いが表れた。
Aタイプ(つま先側荷重)の場合、(みぞおち、膝、足裏)が軸となり、肩(首の付け根)、股関節が可動する性質を持っている。
Bタイプ(カカト側荷重)の場合、首の付け根(肩)、股関節、足裏が軸となり、みぞおち(肘)と膝が可動して動きを作り出す性質を持っているからだ。首は軸を作るポイントとなるので動かない。
4スタンス理論は万能では無い
4スタンス理論は科学的に完全に解明している理論では無いので全てが信頼できるものだとは思っていません、4タイプのどれかに必ずしも適合する訳でもありませんし。ただ、5ポイントにおける軸のあり方などは物理法則的には納得いくものだったりします。完全では無い事を理解してうまく利用する事が大事でしょう。
次回記事作成中。内容は「(仮)トレランと4スタンス理論」について
今回の記事では次回の記事の内容を理解する為の予備知識として4スタンス理論の説明の回となりました。
次回の内容はトレイルランニングと4スタンス理論を結びつけるような内容になる予定です。^^どうぞよろしく。
コメント
kenyaさん、こんにちは。
ゴルフをやっていた時から4スタンス理論信者でした、自分はガチガチのB2みたいです。ランニングでの4スタンス理論の解説が少ないので興味深く読ませていただきました。4スタンス理論関係の記事も楽しみにしています。
シッポナさん コメントありがとうございます。
ゴルフ、野球、テニスあたりの4スタンス理論の説明はたくさん情報があるんですよね。ランニング関連は少ないので書くのに苦労してます。^^
次の記事は、トレラン独自の文化の中で、とある仮説を思いついたのがきっかけで書いているのですが、
結論付けにたくさん動画を見て、仮説が合っているかチェックする時間が結構かかります。更新した時にはまたみてください。!