ファントレイルズ50K参戦記3~動き続けること

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本文上の横長 181130設置

鎌北湖を一周すると登りのセクションが始まった。
前方の視界に入るランナーとの距離を確実に詰めていき、私は歩きで抜いていった。

ファントレイルズ50K参戦記1~長い散歩のはじまり

ファントレイルズ50K参戦記2~力を貰ったトレイルランナー

右膝負傷で今回のレースでは走ることは出来ない。
その為、レースのプランは平坦なセクションは歩き
登りセクションは可能な限り全力で攻めるというもの。
「歩き」というと遅いと思われるかもしれないが、
ゆっくりジョギングする速度くらい(キロ7~8分台)なら無理せずに出せました。
歩きに骨盤の回旋運動を使った動きを取り入れると
疲労は極めて少ない状態で、そこそこのスピードで動けます。
怪我をした直後に骨盤の回旋運動を使った歩き方なら、
膝に殆ど影響しない事がわかった為、レースの出場を決めました。

歩きなら疲労で失速することも無いので、ほぼレースプラン通りに進行出来た。
スタートからA7 鎌北湖までは3時間+休憩その他30分
と見積もったところ、3時間10分で鎌北湖到着。

本来なら鎌北湖まで、起伏がほとんど無いので、走れれば2時間程で着いただろう。

次のA8 高山不動エイドまでは約15キロ
標高の上げ下げは多くなるが全体的な速度は変わらないだろうから
こちらも3時間+αと見積もっていた。

鎌北湖エイドで暖かい食べ物と元気を頂いたせいか、
体力はすっかり回復した感じになった。
補給もしっかりしていこうと、持ってきた行動食は全て食い尽くすペースで30分と間を開けずに、何かしら食べ物を頻繁に口の中に入れていた。

いつもは3時間を越えると吐き気を催してくるが、今日は胃腸障害も無い。

だいたい半分来た。

周りのランナーが疲労を見せ始める中
自分の足取りはスタート時点よりも、むしろ良くなってきたのではないかと感じる。

なぜなら先に進めば進む程、登りの勾配がきつい程、面白いように抜けるのだ。

歩きながらも膝の痛みの出ない動きの許容範囲内の最大値を探り、更に歩きの質を上げていく。
諏訪神社の前を通過しようとしたけど、せっかくなのでコースを外れてお参りしといた。^^

登り階段が全く苦にならない。
いやむしろ、もっと俺に登りをくれ!

自分は下りでぶっ放すスタイルが得意で登りが苦手だと思っていました。
ところが苦手と思っていた登りが今は楽しくてしょうがない。

顔振峠を通過。視界が開けて武甲山の形が遠くに見えてきた。

顔振峠からは八徳(やっとこ)の集落までは下り基調で走れる所だが、ここも早歩きで坦々と進む。

そして、八徳の集落を抜けてトレイルに入ると、FT50で最長の急登が目の前に現れる。

試走した時の感じを思い出して20人だ。と思った。
一瞬、自分が何を考えているのかわからなかったが・・・

そうか20人か。面白い!やってやる!
とりあえず前に見えた前走者数人に追いつく。
「ひとり」・・「ふたり」
・・・・・「さんにん」

道が徐々に九十九折りになると。視界には10数人が見える。
ピッチもストライドもあまり変えずに同じ様なペース登っていく。
さすがに息は弾んでくるが、なぜか脚は疲れない。

九十九折りで向きを変える度に一人二人と抜いていく。
途中で不意に数を口に出してしまった。
変なおっさんがハァハァ言いながら「じゅーごぉ」とか言ってたので、
おかしな奴だと思われたかもしれません。

前走者の後ろに詰める。抜けるタイミングを狙いながら息を整える。
それを何回も何回も飽きずに続けていく・・・
そして登りを僅かに残して、20人を越えた!
最終的には22人抜きだった。それでも余力は残っていた。

これを「八徳の奇跡」と個人的に言うことにする。(笑)
動き続ける事さえできれば必ずゴールに近づく事ができる
不思議と力が沸いてくる。

もはやゴールまでの不安も無い。6時間経過の今30K付近にいる。
13時間でゴールの予定だったが、このままのペースなら11時間台でゴールかもしれない。大幅な計算間違いだ。

・・・・・ところが、高山不動尊の手前のロードに出た所で、誘導のボランティアの方が何か言っている。
「レースは中止です。」
意味がわからない。
天候?いや天候は悪くない。何だろう?
何か重大な事が起こったのは感じた。
とにかくエイドで指示を仰いでくださいとの事。

高山不動尊の前の階段も苦しくない。
とにかくエイドまで行ってみよう。

高山不動エイド到着 13時58分頃
その時は何らかの事故があったという事しかわからなかった。
(レース終了数時間後に100Kの選手が亡くなられた事を知った。)
中止の知らせは皆一様に不満であったはずだが、トレイルランナー達は冷静だった。
運営に対して詰め寄るような者も無かった。
中止を決断し辛い立場の奥宮さんの顔を思い、
大変な準備をされて、今も真摯に対応しているスタッフの姿を見ているからだろう。
この時のレースに関わる全ての人の行動は感動的ですらあった。
ファントレイルズのレースが無くなるような事があってはならない。
私の2017のレースは全て終了となった。

2017レース結果
・FTR名栗 DNS(出走せず)
・トレニックワールド外秩父50K DNF(25k付近で途中棄権)
・Fun Trails50K 途中中止
まさか。1つもゴールできないとは・・・

でも生きて、動き続ける努力をすれば大概の事は乗り越えていける。
チャンスはいくらでもある。
その大切さを知ったシーズンとなった。

本文下

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